USA企画、ソヴィエト連邦製作のコレクタブルな絵皿。
ソヴィエト連邦製作の美しい絵皿をご紹介いたします。
東西冷戦終結の象徴、ベルリンの壁崩壊が1991年11月。
このプレートはまさにそのギリギリ前、1989年から1990年頃にかけて制作されたものです。
企画はアメリカのコレクタブルズ・プロデュース会社、Bradford exchange/ブラッドフォード・エクスチェンジ。
比較的キャラクター性の強いコレクタブルな雑貨類を企画・販売している会社です。
その時々で製造会社は変わり、英国でいえばウェッジウッドの絵皿などもかつて販売されていました。
多くがその時だけの限定品、そして一連のシリーズものとなっており、ファンが多い企画シリーズもあるようです。
今回ご紹介する絵皿は、ブラッドフォード・エクスチェンジがロシアのセラミック工場Vinogradoff Porcelain factoryに発注製作、主にUSAで通信販売されたものです。
USA中心でしたが、英国でも販売されており、今回買い付けた場所は英国のマーケットでした。
黒ベースに、緻密に描かれた絵と金彩が特徴のロシアらしい絵柄。
このような絵柄は、ロシア(ソヴィエト連邦)の伝統工芸品にみることができます。
もともとの発祥は、「パーレク(もしくはパレフ)」という村。
この村は、ロシア正教のイコンを描く絵師の村として歴史的に有名だったのですが、ロシア革命以降は宗教画の需要が絶たれたため、その技術を使って 主にパピエ・マシェでできた箱やトレイなどの小物に、黒や赤のラッカーを塗り、さらにその上から細密画を描き、お土産物等として生産してきました。
仕上げに金彩が施された手書きのロシアらしさ溢れる図案は美しく、ヨーロッパなどでも折に触れてみることができる工芸品となっています。(手書きの芸術性が高い物は驚くほど高く、プリント品やそれほどクオリティの高くない物は安く・・・と、伝統工芸品にありがちな状態になっているようですが)
今回ご紹介する絵皿は、転写とはいえ、その細密画さながらの細かな表現が出色。
細線で施された金彩は、黒ベースに鮮やかな色彩の絵を華やかに、そして格調高く彩っています。
この独特の絵を使い、ロシア民話や伝説などをシリーズとして販売した、という企画ものの一枚。
この絵皿のモチーフは「ルスランとリュドミラ/Ruslan and Lyudmila/Русланъ и Людмила」。
ロシアの詩人・作家、アレクサンドル・プーシキン(1799-1837)が1820年に発表した物語詩がモチーフとなっています。
キエフ大公国のスヴェトザール大公の娘・リュドミラ姫と騎士・ルスランの婚礼の宴席の途中、魔術師・チェルノモールが現われ、リュドミラをさらっていくところから始まる物語。
上の方に飛んでいるのは魔術師、お城の中に座っているのはリュドミラ姫、そして手前で馬に乗っているのは騎士ルスランと思われます。
この「ルスランとリュドミラ」はプーシキンの最初の長編詩であり、この作品においてロシア中に名声を広めることとなります。
ロシアからソヴィエト連邦へ、そしてまたロシアに。
政情が巡っても、ロシア近代文学の父ともいえる彼の作品は時間を超えて愛されてきました。
イコンのような風情をもつ絵皿から、その魂を感じてみるのはいかがでしょうか。
◆USA企画/ソヴィエト連邦製作
◆推定製造年代:c.1989-1990年
◆素材:陶器
◆サイズ:直径約19.5cm 厚み約1.8cm
◆重量:302g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですが、接地面にわずかに汚れが見られる他は、とてもよいコンディションです。
*裏面には「Art object, not for food use」と但し書きがみられます。ディスプレイ用としてご使用ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上お求めください。
お品物の購入はショップにてどうぞ。
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