今回のお品物をご紹介するにあたり、フランスの家具をちょっとご説明させていただきます。
「commode/コモード」、ご存じでしょうか。
コモードとは収納家具の一種で、ルイ14世お抱えの宮廷家具作家アンドレ・シャルル・ブールが始まりといわれています。
低めで横長、収納部分は主として引き出し(一部に開き扉もあり)。
ミラーや肖像画の下に置かれ、窓辺の壁際に置かれることが多かったようです。
表面に三次曲面をもつ立体的なコモードはボンベ型、平坦なものはセルパンティン型と呼ばれ、
表面材はマホガニーやウォールナット、ローズウッドなどの銘木がふんだんに使われることが多く、
足元やコーナーにはオルモル(真鍮もしくはギルトブロンズなどの金色をした飾り)が施されているのが定番でした。
部屋を美しく仕立てるために必要不可欠だった贅沢なコモードは、ヴェルサイユ宮殿にも多く置かれており、貴族や富裕層にとってはなくてなならない家具のひとつでありました。
そして、「Coffret a Bijoux/コフレ・ド・ビジュー」とは、フランス語で「宝石箱」のこと。
今回ご紹介するコフレ・ド・ビジューは、このボンベ型コモードにそっくりのフォルムをしています。
足つきで横長、華麗で優雅なふっくらとしたフォルム。
そして、材はコモードの材のひとつ、ギルトブロンズ。
正直に申しまして、このタイプのコフレ・ド・ビジューは、フランスアンティークでは、たまに見かけることがございます。
材はギルトブロンズもしくは真鍮、大きさが若干違っていたり、細かな飾りが異なってはおりますが、ボンベ型コモードにそっくりのふっくらとした横長フォルム。
それだけ、宝石箱として定番となるほど愛されたフォルムだったといえるのではないでしょうか。
家具のボンベ型コモードの上に、ミニチュア版としてそっくりの小さな宝石箱を置くことが、貴婦人の流行だったのかもしれません。
そんな想像を掻き立てる、このコフレ・ド・ビジュー。
表面にはロココの意匠であるロカイユやスクロールが施され、蓋には可憐な小花が立体的にあしらわれております。
持てばずっしりと重く、重厚感と高級感が感じられます。
よく見れば、後ろ足のひとつに補修跡がみられ、1本だけ少し違う形となっています。
ただ、その補修した部分も金属であり、金色に塗られているため、正面から見ればほとんど気づかないレベルといえると思います。
丁寧に修復するほど、大切にされてきた証と受け取っていただければ、と思います。
底面には「DEPOSE」の文字。
これは、フランスやイタリアにおいての登録商標の意味であり。フランスでは1860年代くらいから始まった表示といわれています。
内部はグリーンのシルクサテン張り。エッジのおさまりは同色のブレード(飾り紐)が廻されています。
歳月により多少の傷みはございますが、クッションが詰まった贅沢なボタン張りは優雅で美しく、どんな宝飾品が納められていたのか、思わず想像せずにはいられません。
優雅なフォルム、凝った装飾、ずっしりとした重み。
重ねてきた歳月の確かな証を纏った本物のフランスアンティークの逸品を、是非ご鑑賞ください。
◆France
◆推定製造年代:c.1900年代頃
◆素材:ブロンズに金彩
◆サイズ:幅約14.8cm 奥行約10cm 高さ約10.8cm
◆重量:約1.45kg
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物のため、小傷や汚れ、金彩の剥がれがみられます。
*内張りの布やブレードには汚れや傷みがみられます。
*1本の後ろ脚は補修跡がみられます。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上お求めください。
お品物の購入はショップにてどうぞ。
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Reminiscence Antiques & Collectable
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