ボヘミアの窯元、Springer & Companyの絵皿。
美しく、珍しいプレートを手に入れました。
まず印象的なのは、プレート周囲の透かし模様。
KPMやヘレンド等でも見られる繊細なレースのような透かし模様は、手間と時間をおおくかけないとできないものであり、出来上がった後も常に破損に気を付けなければいけない繊細な仕上げです。
柔らかなピンクとグリーンに染め分けられたグラウンドと、透かし模様、そしてロココ調のレリーフが一体となり、金彩を施されながら優雅に周囲を彩ります。
中央には柵に腰掛けた女性が一人。
よく見れば葉っぱを集めたようなドレスを着ていて、膝に乗っているのは葉っぱのパレット。
手に持った筆で、葉をオレンジに塗っているようにも見えます。
その姿はさしずめ「秋の妖精」。
「秋の妖精」の仕上げも凝っています。
絵付けは転写と思われますが、ドレスの一部、そして足先の靴の飾りに一部金属製の極小ビーズがはめ込まれているのです。
触れば少し出っ張っており、絵に独特の雰囲気を添える、効果的な役割を担っています。
金彩などではなく、ここまでの塊の物を埋め込んだ仕上げは、私は初めて見たのですが、さぞ手間がかかるのではないでしょうか。
なお、絵の左側に作者のサインらしきマークがみえますが、作者の特定までは至りませんでした。
底面には王冠をいただくシールドの中に、剣を持つ腕が描かれたマーク。
下には「AUSTRIA」の文字がみられます。
これは、「Springer & Company」のバックスタンプ。
「Springer & Company」についての情報はそれほど多くありません。
19世紀から20世紀中ごろまで存在した窯元で、20世紀初め頃までは「オーストリア」、それ以降は「チェコスロバキア」との表示があるようです。
このことから、場所は恐らくボヘミア辺りにあったのでしょう。
後年は他のメーカーや組合に組み込まれ、モダンなデザインのものを生産していたようですが、今回ご紹介するのはオーストリア帝国時代のロココ調の逸品。
仕上げやコンディションからしても、とても貴重なひとしなだと思います。
ドイツ、オーストリア、ハンガリー、チェコスロバキア。
中欧の複雑な歴史の狭間で、奇跡のように残された美しい絵皿。
是非お手元でご鑑賞ください。
◆Austria
◆Springer & Company
◆推定製造年代:c.19世紀後半
◆素材:陶器
◆サイズ:幅約22.5cm 奥行き約21.8cm 厚み約3cm
◆重量:約266g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物のため、小傷や汚れ、製造時からと思われるわずかな凹み等がございます。
*カケやヒビはみあたりません。
*古くデリケートなお品物ですので、熱い物やプレート上でのナイフ使い等の食用はご遠慮いただいたほうがよろしいかと思います。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上お求めください。
お品物の購入はショップにてどうぞ。
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