19世紀、オーストリア・ビーダーマイヤー様式の優美な花瓶。
詳細画像です。
ビーダーマイヤー/Biedermeierとは、19世紀前半のドイツ、
オーストリアを中心に生まれた様式のこと。
1815年のウィーン会議後から1848年の3月革命までの間、主に中産階級が好んだ生活を、後に総括して名づけたものであり、「ビーダーマイヤー」の名称はドイツの判事ルートヴィヒ・アイヒロットによって書かれた、1850-1857年、南ドイツの風刺週刊誌フリーゲンデ・ブレッター/Fliegende Blatter)の中に登場する、架空の小学校教員「ゴットリープ・ビーダーマイヤー」に由来しています。
つまり、様式としてのビーダーマイヤーとは、この小説中に描写された当時の小市民的な生活スタイルのこと。
同じ時代のヨーロッパの中で、英国の「ジョージアン」や、フランスの「ナポレオン三世様式」など
統治者の名前が建築様式、デザイン様式の名称となることが多い中、非常に珍しいパターンといえます。
それだけその小説のなかの生活スタイルが、当時の人々に強く影響を与えた、ということでしょうか。
ビーダーマイヤー様式の特徴は、当時の時代背景を受け反貴族趣味ながら優美さがまだ残されているところ。完璧にモダンなわけではなく、優美な装飾を残しつつも、どこか簡素で、華美になりすぎない、幾何学的な要素があるデザイン。
ちょうど、ちょっと良い暮らしをおくっている、もしくはおくりたいと思っている善良な市民が、
安心して「きれい、すてき」といえるようなテイスト、といったところでしょうか。
この小さな花瓶は、まさにそのビーダーマイヤーのオリジナル。
手に入れたのは、世界遺産の街、アルプス湖畔、オーストリアのハルシュタット。
その美しい街にある小さなアンティーク・ショップの棚の中から、
背の高いオーストリア紳士の店主が取り出したのがこの花瓶。
「Biedermeier , Original」。
大切そうに、そしてちょっと自慢気にみせてくれました。
漆黒のガラスに描かれた、可憐な花々とエレガントさが残された幾何学性をもったフォルムは、ビーダーマイヤーらしい、どこか簡素でありながらも、優美な印象をもっています。
すすらんの花弁のような口には、凹み部分にわずかに金彩がのこっています。
当初は、エッジにぐるりと金彩が施されていたのかもしれませんが、長い歳月のうちに、
落ちてしまった可能性がございます。
ただ、それがかえって全体の黒さを引き立て、とても素敵なたたずまいとなっているのは、アンティークならではの味わいといえるでしょう。
とてもめずらしい、類まれな逸品は、数度の戦争や動乱の大きな流れから取り残されたように、この100年以上を湖畔の街で過ごしてきたのかもしれません。
それがいまここにある、小さな奇跡。
透明な漆黒のなかに刻まれた、歴史と人々の想いを、ぜひ感じてください。
◆Austria
◆推定製造年代:c.1840年頃
◆サイズ:直径約5.5cm 高さ14cm
◆在庫:1点のみ
【NOTE】
*絵付けには、カスレなどがございます。
*欠けやチップ、ひびなどはなく、とても良いコンディションです。
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by d+A