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Friday

オシリスの小麦を潜ませたアールヌーボーのピューターボウル/ "ISIS" Art Nouveau Pewter Bowl with the Wheat

ドイツ・アールヌーボー、「イシス」シリーズの流麗な佳品。

詳細画像です。









この美しいボウルは、1900年代のはじめ、ドイツ・ニュルンベルグの工房で制作されたもの。

底面にあるのは「OSIRIS」「ISIS」のマーク。
「OSIRIS」はドイツ・ニュルンベルグにて1899年に創業した金属加工ファクトリーのホールマークです。創業者は父のFriedich August Scherfと息子のWalter Scherf。


ファクトリーは小さく、はじめのブランドは「KAYSERZINN」でしたが、1902年からピューターの「ISIS」のシリーズを生産しだしました。生産数は限られていましたが、デザイン的な評価はとても高く、1902年から1905年にかけて、多くの賞を獲得しています。

ただ、惜しむらくも1909年、息子のWalter Scherfが亡くなると同時期に、この小さなファクトリーは倒産してしまいます。



エジプト神話上のエピソードである「オシリス/OSIRISとイシス/ISISの伝説」。

弟に誅殺されたエジプトの王、オシリスは、妻イシスによって蘇り、やがて冥界の王となる、というストーリーです。

神話によればオシリスは生産の王として、民に小麦の栽培法やパン及びワインの作り方を教え、法律を作って広めることにより人々の絶大な支持を得たといいます。

神の「死と復活」は、いろいろな神話において冬の植物の枯死と春の新たな芽生えを象徴しており、オシリスにも植物神、もしくは農耕神としての面があるといわれています。



時は世紀末、場所はドイツ、ニュルンベルグ。

時代はまさにアール・ヌーヴォー全盛期。

Scherf親子が始めたのは、植物の柔らかな曲線をモチーフにしたアール・ヌーヴォーの意匠をとりいれた小物を制作するファクトリー。

彼らは自分たちの作品に、遥か南方エジプトの神話に登場する植物神の名前をつけたのです。



わずか7年間だけ制作された「OSIRIS」の「ISIS」シリーズ。

そのどれもが、流れるようなアールヌーヴォーの曲線と、ドイツの誠実なクラフトマンシップによって、美しい姿を私たちにみせてくれています。


このボウルはそのなかのひと品。

なんともいえないオーバルの形状、きれいに立ち上がる縁の曲線。エッジの透かし加工はボウルを軽やかにみせています。アールヌーヴォーの流麗な曲線とともに、さりげなくあしらわれた小麦はオシリスヘのオマージュでしょうか。

フルーツやドライフラワーをあしらってももちろん素敵ですが、このボウルだけをテーブルやカウンターにおくだけでも、十分絵になる力をもっています。

様々な想いが込められた、美しく、類まれなひと品です。


◆Germany
◆メーカー:OSIRIS ISIS
◆製造年代:1900年代
◆素材:ピューター
◆サイズ:幅32.2 奥行き19 高さ5.5cm
◆在庫:1点のみ

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